我慢できない足の冷え…… (後編)
「5つの対策」で撃退しよう!
この時季毎日行いたい「5つのカンタン冷え対策」
冬場であれば、ある程度足先が冷たくなるのは仕方がないことです。ただ、気温のせいで一時的に冷たくなる程度でおさまらず、足の先端が四六時中冷えっぱなしになっているのであれば、それは「冷え性」の症状です。
原因は、いわゆる「体温を調節する体の機能」がうまく働いていないことによるのですが、それに対してどのような改善策があるのでしょう。ここでは、具体的な対処法についてご紹介したいと思います。
そんな表現がピッタリくるほどの「足の冷え」に悩んでいる人もいることでしょう。
仕事中の対処法
デスクワークでも立ち仕事でも、基本的に長時間同じ姿勢を取り続けている状態は、血行不良を招き、足の冷えを引き起こす要因になります。
数時間に1度はデスクを離れ、歩くようにしましょう。このとき、エレベーターは使わず、階段を上り下りするのがポイントです。このとき、骨盤内のインナーマッスルを使うことを意識しましょう。
空いている時間には、少しでも体を動かし、固まった筋肉をほぐすクセをつけてしまうと、習慣になります。
筋肉を動かすことは血液を押し流す作用を高めることにつながります。どうしても動けない状態であれば、こまめに脚やふくらはぎをマッサージするだけでも血流の改善につながります。
暖房器具での対処法
下半身、特に足を冷やさないためには、暖房器具にも気を遣いたいところ。家ではエアコンよりも、下半身を集中的に温める床暖房やコタツを、オフィスではパネルヒーターやデスクヒーターを活用しましょう。
食事における対処法
体を内側から温めて血行をよくするには、体を温める食べ物&食べ方を知り、実践することも効果的です。
たとえば、体を冷やしやすい食べ物に分類される豆腐を食べる際には、冷奴やサラダなどよりも湯豆腐にする、などの工夫が必要です。
また、フルーツ類は基本的に体を冷やす傾向があるので、この時期はできるだけ控えるのがいいでしょう。間食やお酒のおつまみなどに、血行促進に働くビタミンEが豊富なナッツ類がオススメです。
運動における対処法
血流は、筋肉の動きによって促進されますが、それ以外にも、筋肉はそれ自体の運動によって熱を生み出す働きがあります。つまり、筋肉が少ない人は、それだけで冷えやすいというわけです。
実際、男性に比べて筋肉量の少ない女性のほうが、冷えの傾向が強いとされています。足の冷えであれば、下半身を動かすストレッチや屈伸、スクワット、またウォーキングなどが特に効果的となります。
筋肉量を増やすことを意識して、下半身に少し負荷をかけた運動を行うと、冷えの撃退のみならず、引き締まったお尻やふとももも手に入ります。
お風呂での対処法
熱めのお風呂にサッと入るだけだと体の内側まで十分に温まらず、湯上りに体が冷めやすくなります。目安としては、38〜40度くらいのお湯にゆっくりと時間をかけて浸かった方が、冷えには断然効果的です。
お風呂に入る時間がないという人でも、週1〜2回はお湯に浸かるといいでしょう。風呂にお湯を溜めるのが大変であれば、足湯だけでも効果はあります。
足の冷えは万病のもと!?
足だけでも十分につらい「冷え」ですが、冷えの悪影響は足だけではありません。たとえば、足が冷えることで体内の熱のバランスが崩れ、上半身、特に頭がボーっとする「のぼせ」や「ほてり」が起こりやすくなります。
さらに女性の場合、冷えによるトラブルの多くは婦人科系の症状となって現れる傾向がよく見られます。冷えから起こる血流の悪化(もしくは血流が悪化することで招いた冷え)によって、月経不順や月経痛などの症状が起こりやすくなります。
また、長期に渡り冷えが続くことで、ホルモンバランスの乱れも生じやすくなり、さらにストレスが加わると若い人でも更年期のような症状が出やすくなることもあるのです。
足の冷えを治すなんてどうせ無理」と諦めるのではなく、少しの時間でできる冷え対策を行って、少しずつでも改善を図るようにしましょう。
神藤 慧玲(しんとう・えり) 御苑アンジェリカクリニック院長
略歴
千葉大学医学部卒業/千葉県・東京都内大学病院、都内総合病院、慶愛クリニック・慶愛大木クリニック、北里研究所東洋医学研究所研修を経て御苑アンジェリカクリニックを開院。/日本抗加齢医学会(アンチエイジング学会)専門医/東洋医学会・日本ペインクリニック学会 会員/麻酔科標榜医・日本麻酔科学会 指導医