水虫コラム
第1回
水虫の治し方を解説
治療法や薬の選び方、
早く治すポイント「自力で治せるの?」
「水虫がかゆくてたまらないけれども、病院に行く時間がない」「水虫で病院に行くのは恥ずかしい」と悩んでいませんか?水虫は軽症なものであれば、市販の薬を使って自力で治すことも可能です。ただし市販薬ではよくならないタイプの水虫もあります。また水虫の種類や症状によって適切な薬のタイプも異なりますので上手くいかない場合には皮膚科に受診することをお勧めします。
この記事では、自力での水虫の治し方を知りたい方に向けて、水虫の原因や種類、適切な薬の選び方、早く治すポイントなどを解説します。
水虫の治し方は?
まずは、水虫の基本的な治し方をご紹介します。
足水虫なら外用薬が基本
水虫が爪にまで及んでいない足水虫であれば、外用薬(外用抗真菌薬)での治療が基本です。外用薬には軟膏、クリームやスプレータイプなどさまざまな種類があります。患部の状態によって使い分けるのが良いでしょう。
外用薬の種類や選び方については、水虫を自力で治したいときの薬の選び方を詳しくご紹介します。
爪水虫は内服薬で治療する
水虫が爪にまで及んでいる場合、飲み薬での治療が適応となります。外用薬では爪の中まで有効成分が届きにくく、治癒が困難な場合があるためです。水虫の内服薬は市販では手に入らないので、病院へ行き処方してもらいましょう。
民間療法には頼らない
水虫治療については、「足を酢につける」「アロエやニンニクを塗る」などの民間療法が知られていますが、それらは医学的根拠がなく、かえって皮膚の状態を損ない、水虫の症状が悪化することがあるため避けましょう。
水虫の原因や種類を
知っておく
水虫の詳しい治し方を知る前に、そもそもなぜ水虫になるのか、原因や種類を把握しておきましょう。
水虫の原因は白癬菌の増殖
水虫は、白癬菌と呼ばれる真菌(カビ)の一種に感染することで起こる疾患です。白癬菌のほとんどは皮膚の表面である角質に住み着いており、剥がれ落ちた角質を介して感染していきます。
なお白癬菌が皮膚に潜伏していても、必ずしも症状が出るとは限りません。長時間靴を履いたり激しいスポーツをしたりして「高温多湿」の環境になったとき、白癬菌は増殖を始め、水疱ができるなどの症状が出始めます。
水虫は大きく分けて足や手の水虫(足白癬、手白癬)、爪水虫(爪白癬)と体の水虫(体部白癬、股部白癬)、頭の水虫(頭部白癬)があります。
足の水虫
足の水虫には、主に3種類に分かれます。
趾間型
最も多いタイプです。足の指の間に赤みや水疱、皮むけができます。角質が汗などで白くふやけてジュクジュクする事もあります。強いかゆみを伴います。
小水疱型
小水疱型は、土踏まずや足の側面に数mmの水ぶくれが多数します。小さな水疱が固まって少し大きめの水疱になることもあります。梅雨の時期に起こりやすく、暑さが和らぐと自然に軽快することもあります。
角質増殖型
角質増殖型は、足の裏の角質が厚くなり、ひび割れが起こると痛くなります。です。ほかのタイピと違ってかゆみがほぼないため、水虫だと気がつかず放置されがちです。
手の水虫
水虫は足だけのものと思われがちですが、稀に手に発症することもあります。手に発症する水虫は手白癬と呼ばれ、足の水虫同様に趾間型・小水疱型・角質増殖型があります。
爪の水虫
水虫が爪に発症したものは爪白癬と呼ばれます。爪白癬は、足水虫や手水虫を治療せず放置していたときに、白癬菌が爪の間に入ることで起こります。爪白癬になると、爪が白く濁り厚くなり、爪切りなどでボロボロと崩れ出す脆い爪になってきます。
水虫を自力で治したいときの薬の選び方
水虫のうち、爪水虫以外は市販の外用薬で治療が可能です。水虫の薬は主に以下の剤形に分かれます。
- 軟膏
- クリーム
- 液状スプレー
- ゲル
水虫の薬は、症状にあったものを選ぶのがおすすめです。
薬のタイプごとの特徴をご紹介します。
軟膏タイプ
べとつきはありますが、皮膚表面を保護する効果があり、刺激が少ないのが特徴です。
ジュクジュクしていたり、びらんになっている場合には適しています。
クリームタイプ
クリームタイプは、足裏など広い範囲はもちろん、指の間など細かい部分にも塗りやすいことが特徴です。薬を塗るときに手が汚れるので、手を洗える環境で使いましょう。
液状タイプ
先端が尖ったボトルから、液状の薬を患部にさすタイプです。どの症状にも使えますが、比較的狭い範囲の水虫に向いています。浸透性・速乾性に優れ、手を汚すことなく使えるのが利点ですが、アルコールが含有され特にジュクジュクしている部位には刺激になることがあります。
スプレータイプ
液体の薬をスプレーするタイプです。スプレーのノズルを切り替えることで、狭い範囲の水虫にも広範囲にも対応できることがメリットです。
ゲルタイプ(パウダー配合)
ゲル状の薬にパウダーを配合したタイプで、乾きが早くベタベタしません。クリームタイプ同様に、指の間など細かな部分に塗り込むのに適しています。
水虫の症状 | おすすめの剤形 |
---|---|
足指の間が じゅくじゅくしている |
軟膏 クリーム |
足指の間が カサカサしている |
軟膏 クリーム 液状 スプレー |
足裏が 厚く角質化している |
軟膏 クリーム ゲル |
水疱があるが つぶれていない |
軟膏 クリーム 液状 スプレー |
水疱がつぶれ じゅくじゅくしている |
軟膏 クリーム |
足裏など 広範囲に広がっている |
軟膏 クリーム スプレー |
水虫の薬の使い方や
治療期間は?
水虫の薬の適切な使い方や治療期間を解説します。
入浴後に水分を拭き取ってから塗る
近年の水虫薬は、1日1回使用するタイプが主流です。使うタイミングは、足をきれいに洗って清潔にした入浴後が最適です。入浴して皮膚がふやけていると、薬の浸透もよくなります。症状のある部分だけに塗るのでなく、足の裏全体、指の間、踵まで、広い範囲で塗りましょう。片足に症状があっても両足とも塗ったほうが良いでしょう。
症状の改善には最低1カ月かかる
水虫の治療期間は症状によって異なりますが、外用薬を使い始めて2週間程度すると症状が軽くなるのが一般的です。
しかし目に見える症状がなくなっても、角質内に潜む白癬菌が完全に消失したわけではありません。自覚症状がなくなった時点で「治った」と思い治療を中止してしまうと、再び白癬菌が好む高温多湿の環境になったときに再発してしまいます。
そのため、水虫の治療は症状がなくなったからと中止せず、症状がなくなったところから最低2-3か月は続けることが大切です。
水虫を早く治すポイントは?
水虫の薬の効果を高めるために押さえておきたいポイントをご紹介します。
清潔にする
水虫の治療でもっとも大切なのは、患部を清潔に保つことです。入浴時にはせっけんで、足指の間を含めて隅々まで洗いましょう。そうすることが、家族間感染の予防にもつながります。
通気を良くする
白癬菌は高温多湿の環境を好むので、靴や靴下は通気性の高いものを選ぶことも大切です。可能であれば通勤時は革靴ではなくスニーカーを履き、出勤後は靴からスリッパやサンダルに履き替えるようにするとよいでしょう。
できない場合は靴を2〜3足用意し、同じ靴を続けて履かないようにするのもおすすめです。
蒸れた状態を避ける
水虫は患部がジメジメして蒸れた状態だと治りにくいため、できるだけ乾燥した状態を保つことも大切です。スポーツジムやスパなどでシャワーを浴びたあとなどは、足の水分をタオルで拭き取った場合でも、すぐではなくよく乾燥させてから靴下を履くようにしてください。
また家に帰ったらすぐに靴下を脱ぎ、できるだけ裸足で過ごすことを心掛けましょう。
水虫を自力で治すときの
注意点
水虫の薬は、使い始めると比較的早期に症状が軽減するのが通常です。もし2週間程度使用しても効果が見られない場合や症状が悪化した場合は、水虫ではなくほかの皮膚疾患の可能性が考えられます。そのような場合は水虫薬の使用を中止し、皮膚科に相談にいきましょう。
また爪水虫は自力での治療は困難で、内服薬での治療が必要なので皮膚科を受診するようにしてください。
まとめ
足水虫は市販の外用薬で治療することができます。水虫の薬にはさまざまな種類があるので、症状にあったものを選びましょう。
治療中は患部を清潔にし、できるだけ乾燥した状態を保つことも大切です。また市販薬で治療を2週間続けても改善がみられない場合は、水虫以外の可能性があるため皮膚科を受診するようにしてください。
この記事を監修した医師
わたなべ皮膚科 渡邉 荘子 院長
日本皮膚科学会認定専門医。日本医真菌学会、日本形成外科学会、美容皮膚科学会所属。東京女子医科大学を卒業、大学病院の形成外科・再建外科、皮膚科にて勤務後、2019年わたなべ皮膚科開院。